学習法自己診断室
Methodology005「英語を訳すことは意味がない」は、正しいか?
英文法学習の最終回です。なので、ちょっと長くなります。
英文法の学習が定着しないのは、問題文を訳さないからです。
こう言うと、早速、訳読こそがこの邦の英語教育の元凶であり、英語は英語のまま理解しなければならないという反論が矢のように飛んで来そうです。でも、どうやって英語を英語のままで理解するというのでしょうか? 千歩譲って、本人がまだ幼い学童であり、きっと“ポテイトー”“トメイトー”とでも何度も繰り返して唱えていれば、やがて京大や東大で出題される英文も自ずから理解できるようになるのでしょう、いやきっと。ですが、もう15歳を超えんとする歳になっていたら、今更、それは無理です。
であれば、英語で書かれたを無味乾燥なほぼ一行あるかないかの英文を徹底的に精読して、意味を理解することです。1,000題あるわけです、1,000の文法・語法・成句が含まれた英文を完全に読めるようになれば、共通テストレベルの英文なら、その語彙も含めて、ほぼ瞬時に読めるようになるはずです、いや1文1文は(註)。
さらにもう一つ。客観型の同意文選択問題とか内容一致問題を解くときに最も大切になるのは、リスニングの問題も含めて、瞬時に選択肢を精確に-正しいだけではなくて-読み切る力です。これは英文法の問題文を読む力とまったく等価です。
なぜか? 英文なんてのは、1文1文が未知なるものとの遭遇です。一寸先は闇です。とりわけ選択肢は本文の内容を度外視して、それ自体を一個の文として、読まなければなりません。ナマジ本文の内容理解で読むと完全に引っかけの落とし穴に嵌まります。本文なんか関係なしに断固として、その1文を読むことができる力こそ、英語力です。
英文法の問題は、第1問の主語が John だとしても、次の第2問にそれを受けて He が出てくるわけではありませんよね。次の英文はいきなり The goverment で始まったりします。だからよい。まったく脈略のない英文を読みこなすことができることこそ、母語以外の言語に対する語学力です。文脈を読むことは外国語の力とは何の関係もないと言い切っておきましょう。
ただし、最後に。学習方法には注意してください。解答が合っていた問題も、間違ってしまった問題も-003で書いたように3分の2も間違ってしまったんですよね、解説がサッパリ分からなかった問題も-004で書いたように3分の1は理解できなかった問題ですね、黙って解答を空所に入れて、まずは頭の中で丁寧に意味をとってみます。勿論、必要に応じて辞書を引く。全単語が説明されているわけではありませんものね。そして問題集に書かれている訳と照らし合わせてみる。そしてその意味を精確に理解することです。
週に1回は英文法の日を作りましょう、と003で提案しました。残りの日はやらなくてよいのか? 当然、残りの日は数学をやります。でも数学に疲れたら、その週やった英文法学習の範囲の英文をチラ見する時間を作ってください。電車やバスでやるべきなのは単語帳ではなく、文法の問題集の英文に眼を通すことです。繰り返し見ていると、よく解答を憶えてしまって困ったという皆さんがおられます。なんと素晴らしいことか! 解答が透かし見えるまでにその英文に馴染んだということに他なりません。何度も繰り返すうちに、やがて、日本語を介さなくとも、英文を返り読みせずとも,英文を前から読んでいくことができるようになります、英語のままで! いや、もしかしたら英文が頭の中で先に出てくるようになるかも。こうなったらしめたものです。分からなかった解説部分が分かってくるはずです、はじめて類例や枠組みの中身を憶える余裕が出てきます。さあ、次の章の英文法学習に、いやいやサッサと英文法なんぞという退屈な勉強は逸早く終えて、次の段階の英語学習に進みましょう!
註 : 文と文との logical coherence (論理的整合性)ないしは logical consistency (論理的首尾一貫性)を読むことは、これとはまた別の話です。それは母語に対する理解力-これを読んでおられる大部分の皆さんは日本語力になりますか…-の問題です。